[にんじん栽培&育て方]種まきから収穫まで簡単プランター栽培

にんじんは野菜ジュースの材料にもぴったり。葉はハーブのような香りでスープなどに。そんな採れたてのにんじんを味わえるプランター栽培を紹介します。栽培に適した温度は20℃前後で、秋まきの場合は6月終わりから8月はじめに種をまきます。

準備するもの

プランター:三寸〜五寸にんじんなら深さ30cm程度、ミニニンジンなら深さ15cm程度のもの

にんじんの種

培養土

鉢底石

移植ごて(小型の園芸用シャベル)

化成肥料

不織布など(乾燥対策にあると便利)

品種選び

プランターの深さが30cmの場合は、根の長さが20cm以下の品種を選びましょう(西洋系の五寸にんじんなど)。

※記事では深さ30cm程度のプランターで五寸にんじんの育て方を紹介します。

memo

にんじんには、細長い「金時にんじん」や、太くて短い「五寸にんじん」などいろいろな品種があります。狭い場所でも作れるミニニンジンや、黄色や紫色のにんじんもあります。

種まき

大きくて太った種が発芽しやすいので、大きい種を選んでまきましょう。プランターに鉢底石と培養土を入れ、深さ1cmほどの溝を作り、5cm間隔で種をまきます。にんじんの種は「好光性種子(こうこうせいしゅし)」といって、光に当たることで発芽が促進されるので、土は薄くかけ、手で軽く押さえてからたっぷり水を与えます。

プランターを日当たりの良い場所に置き、発芽までは毎日、発芽後は土が乾き始めたらたっぷりと水を与えます。

乾燥対策と暑さ対策を忘れずに

●乾燥対策
発芽まで土が湿っている状態を保つことがとても重要。不織布をかぶせて端を固定し、乾燥を防ぐのもいいでしょう。
●暑さ対策
プランターをコンクリートの上に置いておくと、暑い日は照り返しで高温になります。にんじんは暑さに弱いので、ウッドデッキやすのこを敷いたりスタンドなどに載せたりして、直接コンクリートに触れないようにしましょう。このほか、よしずを立てかけたり、園芸店で売られている「寒冷紗(かんれいしゃ)」で覆ったりして日差しを遮る方法も有効です。

間引き

種まきから7〜10日で発芽します。元気の良い株を残して株間が約3cm間隔になるように間引きします。その後本葉が2〜3枚ほど出たら株間が約6cm間隔になるように間引きし、さらに本葉が5〜6枚ほど出たら株間が10〜12cm間隔になるように間引きします(下の画像は3回目の間引き)。

株が大きくなるにつれて間引きして間隔をあける

間引きをした後は、その都度、土を足して間引いた後の穴を埋めておきます。

memo

間引いたにんじんも食べられます。

追肥と土寄せ

間引きのたびに、化成肥料10〜20g程度をまいて、土と軽く混ぜます(混ぜた土は、株元に寄せて株を安定させます)。3回目の間引きの後も同様に追肥を行い、以降は2週間に1回追肥をします。

memo

にんじんの根が肥大化して、上部が土から露出することがあります。そのままにしておくと出た部分が緑色に変色(日焼け)してしまうので、土を足して変色を防ぎます(変色しても食べられます)。

収穫

地上に見える部分の根の直径が4〜5cmくらいになったら収穫です。根元を持って引き抜きます。

地上に出ている根の直径が4〜5cmになったら収穫

ミニニンジンを育てる場合

●種まき
プランターの土に、10cm程度の間隔をあけて2列の溝をつくり、1cm間隔で種をまきます。
●間引き
2回間引きします。
●収穫
根の直径が2cmほどになったら収穫します。

病害虫と予防

にんじんにつきやすい害虫は、アブラムシとキアゲハの幼虫です。アブラムシは専用の薬剤を使うほか、霧吹きなどで防除剤をかけて虫を防ぎます。キアゲハの幼虫は割り箸などでつまんで、すぐに駆除します。

最後に

採れたての新鮮なにんじんを、いろいろな料理で楽しんでください。

藤田 智

藤田 智

恵泉女学園大学教授・副学長

1959年秋田県湯沢市生まれ。宮澤賢治に憧れ、岩手大学農学部に入学し、同大学院修了。向中野学園高校教員、恵泉女学園園芸短期大学助教授を経て、現職。専門は、園芸学、野菜園芸学。野菜栽培に関連する著書は150冊を超え、「NHK 趣味の園芸 やさいの時間」や日本テレビ「世界一受けたい授業」などのTVにも多数出演する。家庭菜園や市民農園の指導、普及活動を通じて、野菜づくりの楽しさを広げる取り組みを行っている。
ホームページ

[にんじん]料理別の切り方と保存法

[にんじん]料理別の切り方と保存法

β-カロテンの含有量は、野菜の中でもトップクラス。生育には低温が適し、生産地を移動しながら一年中つくられています。日本には、中国を経て17世紀に伝来。短く太い西洋種が主流です。

最終更新:2023.07.26

文:アーク・コミュニケーションズ
撮影:谷山真一郎
監修:藤田智、カゴメ
参考文献:
『野菜とハーブのプランター菜園』藤田智監修(ブティック社)
『NHK趣味の園芸 やさいの時間 藤田智の 野菜づくり大全』藤田智監修 NHK出版編(NHK出版)