藤浪は4球団競合、大谷は日本ハムが強行指名

大阪桐蔭が春夏連覇した2012年。秋のドラフトの目玉はエース右腕・藤浪晋太郎と、メジャー希望を表明していたライバルの花巻東・大谷翔平だった。

大谷はドジャースやレンジャース、レッドソックスの関係者と面談した上でメジャー挑戦の意向を示したため各球団は指名回避したが、前年に巨人を熱望する東海大・菅野智之を強行指名して獲得断念した日本ハムが、この年は大谷を強行指名。藤浪にはオリックス、阪神、ロッテ、ヤクルトの4球団が競合した。

2012年ドラフト1巡目指名選手の成績


外れ1位も含め、各球団の1巡目指名選手の成績を振り返ってみよう。

オリックスは外れ外れ1位で松葉貴大を指名

DeNAはソフトバンクと競合した亜細亜大の右腕・東浜巨を抽選で外し、駒澤大・白崎浩之を指名。2018年にトレードでオリックス移籍し、2020年オフに戦力外となった。通算413試合出場で184安打、16本塁打の成績を残している。

オリックスは藤浪を外し、外れ1位で指名した大阪ガス・松永昂大も外し、大阪体育大の左腕・松葉貴大を指名。2019年にトレードで中日に移籍し、通算180試合登板で43勝62敗を挙げている。

阪神は和田豊監督が見事に藤浪を引き当てた。1年目から10勝を挙げ、3年目の2015年には14勝をマークして最多奪三振のタイトルを獲得。4年目以降は下降線を辿り、2022年オフにポスティングシステムでMLBアスレチックスに移籍した。同年シーズン中にオリオールズに移籍し、メジャー1年目はトータルで64試合に登板して7勝8敗2セーブ5ホールド。日米通算では64勝を挙げている。

ロッテは藤浪を外し、外れ1位で大阪ガスの左腕・松永昂大を引き当てた。1年目から58試合に登板するなど中継ぎとして活躍し、通算359試合で16勝15敗1セーブ135ホールドをマーク。2022年に引退し、2023年に育成投手コーチ兼二軍投手コーチに就任している。

ヤクルトは藤浪を外して石山泰稚、ソフトバンクは東浜巨

広島は東福岡高の左腕・森雄大を抽選で外し、NTT西日本の右腕・増田達至も外して、外れ外れ1位で高校通算43本塁打の龍谷大平安高・髙橋大樹を指名。2019年にプロ初本塁打を放ったが、2021年に戦力外となった。

楽天は東福岡高・森雄大を引き当てた。しかし、ここまで通算28試合登板で3勝6敗にとどまり、2022年に引退した。

ヤクルトは藤浪を外し、ヤマハの右腕・石山泰稚を指名した。1年目から60試合に登板するなど中継ぎやクローザーとして活躍。通算490試合登板で28勝39敗85セーブ113ホールドをマークしている。2020年オフはFA権を行使せずに残留し、4年契約を結んだ。

ソフトバンクは沖縄尚学高時代にセンバツ優勝投手となった亜細亜大・東浜巨を引き当てた。2017年に16勝で最多勝に輝くなど通算69勝42敗の成績を残している。

巨人は1年越しの菅野智之獲得

中日は慶応義塾大の右腕・福谷浩司を単独指名した。2年目の2014年に72試合に登板して11セーブ32ホールドをマーク。通算270試合登板で24勝32敗38セーブ53ホールドを挙げており、2021年は初の開幕投手に決まっている。

西武は東浜を外し、NTT西日本・増田達至を指名。主にクローザーとして活躍し、通算547試合登板で31勝38敗194セーブ106ホールドをマークしている。2020年オフに国内FA権を行使した上で残留し、4年契約を結んだ。

巨人は前年ドラフトで1位指名しながら抽選で外した菅野智之を単独指名した。日本ハム入りを拒否して浪人していた右腕にとって、東海大相模高、東海大の先輩にあたる叔父の原辰徳監督率いる巨人入りがようやく実現。開幕13連勝をマークした2020年オフにメジャー挑戦を希望してポスティング申請したが、断念して残留した。通算121勝71敗、防御率2.50の成績を残している。

花巻東・大谷翔平を強行指名した日本ハムは、熱心な説得により本人のメジャー希望を翻意させ、入団にこぎつけた。プロ入り後は二刀流として活躍し、2017年オフにポスティングシステムでMLBエンゼルスに移籍。投手として日米通算80勝34敗1ホールド、打者として977安打、219本塁打をマークしている。

1巡目指名選手だけを見てもハイレベルなことが明白な2012年組。2巡目以降では二松学舎大付高の鈴木誠也が広島2位、三重中京大・則本昂大が楽天2位、創価大・小川泰弘がヤクルト2位、セガサミー・宮﨑敏郎がDeNA6位で入団している。

ちなみに藤浪、大谷とともに「高校BIG3」と呼ばれていた愛工大名電の左腕・濱田達郎は中日2位で入団したが、通算5勝7敗の成績を残して2022年にユニフォームを脱いでいる。

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