ブライトンは現地時間4月6日に行なわれたプレミアリーグ第32節でアーセナルに本拠地アメックスで0-3の完敗を喫し、10位に順位を落としている。

 4月はプレミアリーグで1分け1敗と勝利なしで、3月も1勝2敗といずれも負け越し。そして得点を見ると、今月は2試合でノーゴール、先月は3試合で2ゴールと、シーズン序盤に攻撃的サッカーを展開してしばしば大勝を収めてきたチームの面影はほとんど見られない。

 この要因として真っ先に挙げられるのは、選手の負傷である。昨季、ロベルト・デ・ゼルビ監督の下で快進撃を披露し、クラブ史上初となる欧州カップ戦(ヨーロッパリーグ)の出場権を獲得したブライトンだったが、歴史的なシーズンである今季はハードスケジュールの影響か怪我人が続出している。
  それはシーズンを通しての深刻な事象であり、イタリア人指揮官にはベストメンバーを組む機会が長い間失われている。彼はアーセナル戦後、「多くの怪我人を抱えており、アーセナルに対抗することができなかった。我々は今、厳しい時期を過ごしている。昨季はより良い成績を収めたが、それは週1試合のペースだったからだ」と語り、悲壮感を漂わせた。

 一方で「来季はまた、同じレベルに到達できると思う。我々は前向きになる必要がある」と楽観的な見方も示した同監督だが、以前に彼は来季について「トニー(・ブルーム・オーナー)とはまだ話しておらず、まだ分からない」しながらも、「デニス・ウンダフは(シュツットガルトへのレンタルから)戻ってくるだろうし、三笘薫の怪我も良くなることを願っている」と語っている。

 2月18日の第25節シェフィールド・ユナイテッド戦を最後に、日本人アタッカーは腰の負傷によって戦列を離れ、今季中に復帰することはないことが明らかになっているが、同じく今季絶望のソリー・マーチ同様、その不在は、明らかにチームの攻撃力をさらに低下させており、三笘離脱後のブライトンの成績は9試合で公式戦2勝2分け5敗・4得点というものである(守備面の失点14も深刻だが……)。 ジョアン・ペドロ、アンス・ファティ、エバン・ファーガソンらが復帰してもなお、得点力が回復しない中で、三笘らの存在の大きさは多くの現地メディアが指摘しており、そのひとつであるブライトンの地元紙『The Argus』は、さらにファンの「我々には三笘とマーチ、そして彼らのドリブルのスキルが足りない」との意見も紹介している。

 国外メディアでも、アメリカのスポーツ専門サイト『The Athletic』が、「デ・ゼルビが今季欠いた選手の数には、他のどの監督も対応できなかっただろう。特に過去8試合でウインガーの三笘とマーチを欠き、また得点王のジョアン・ペドロもハムストリングの問題で2か月間欠場と、とりわけ影響力のある攻撃選手が不在だったことを考えると、(すべての公式戦を含めた)直近8試合でわずか3ゴールしか挙げられなかったことは、それほど驚くべきものではないだろう」と綴った。

 今季は怪我だけでなく、アジアカップでの日本代表招集もあって、リーグ戦19試合、公式戦では26試合の出場に止まった三笘だが、その影響力が高かったことを示すのは、相手ゴールに向かって5メートル以上ドリブルすることを示す「プログレッシブキャリー」の回数で今季通算「121回」を記録し、今なおリーグ6位にランクインしていることだ。
  ブライトンとしては、三笘らの離脱によって厳しいシーズンを送っており、現時点では2シーズン連続での欧州カップ戦出場は難しそうだが、前出の『The Athletic』や英国の日刊紙『The Guardian』は、怪我人が復帰し、なおかつ強行日程からも逃れられる可能性が高い来季の、このクラブの復活と再び快進撃を展開することに期待している。

 もっとも、両メディアともに、来季のブライトンがほとんどの現有戦力を残すと予想する中で、「三笘とジョアン・ペドロは引き抜かれる可能性が十分にある」と綴っており、怪我から復帰した三笘のピッチ上、そして移籍市場での動向も多くの注目を集めることになるだろう。

構成●THE DIGEST編集部

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