【血統値】5月3日に門別競馬場で行われた新種牡馬産駒限定の新馬戦・フレッシュチャレンジ競走(ダート1000メートル)は、キタサンミカヅキ産駒のキタサンヒコボシが6馬身差で圧勝。今年の新種牡馬として最初に勝ち馬を送り出したが、その後は新種牡馬の産駒で勝ち上がった馬は一頭もいない。

 このレースではほかにロジャーバローズ、アルアイン、シュヴァルグラン、カリフォルニアクローム、モーニン産駒らが出走したが、7着となったコンチオーサムの父ユアーズトゥルーリの名前を聞いてもピンときた人は少ないだろう。それもそのはず、キャリアはわずか2戦、それも勝っていないのだから分からなくて当然だ。

 3歳5月の東京芝1600メートル戦で遅いデビューを飾ったユアーズトゥルーリだったが、跛行を発症し競走中止に。2戦目は6月函館のダート1700メートル戦に出走。馬体は30キロ減と絞れたものの、14頭立ての13着に終わり、そのまま引退となった。その後はレックススタッドにて種牡馬入り。生涯2戦、それもわずか1頭に先着しただけの馬が種牡馬入りできたのは、当然、その血統背景に理由がある。

ユアーズトゥルーリの父はロードカナロア、母はアイムユアーズだ

 ユアーズトゥルーリの父はロードカナロア。GⅠ9勝のアーモンドアイや皐月賞馬サートゥルナーリアなどを出し、今年はディープインパクトに代わってリーディングサイアー獲得を期待されている。母はファンタジーS、フィリーズレビュー、クイーンS連覇と重賞を4勝したほか、阪神ジュベナイルフィリーズ2着、桜花賞3着とGⅠでも実績を残したアイムユアーズ(父ファルブラヴ)という血統だ。

 祖母セシルブルースは未勝利馬だが、曽祖母セシルカット(父サンデーサイレンス)は1983年のオークス馬ダイナカールの娘。つまり、セシルカットはオークス、天皇賞・秋を制し年度代表馬に輝いたエアグルーヴの1歳違いの半姉となる。トニービン産駒のエアグルーヴには遠く及ばないものの、現役時代には栗子特別など5勝を挙げ、まずまずの活躍を見せた。

 いくらユアーズトゥルーリ自身が良血とはいえ、この競走成績では牝馬を集められないかと思われた初年度(2020年)は17頭に種付けし15頭の産駒が、2年目(21年)も16頭に種付けし10頭の産駒が誕生している。ロードカナロア初の後継種牡馬としての価値に加え、父ロードカナロア(20年=2000万円、21年1500万円)と比べ魅力的な15万円という種付け料も追い風になったか。

 キングカメハメハ系×ダイナカール牝系というくくりで見れば、タイトルホルダー、スターズオンアース、リバティアイランドなど3世代から6頭のGⅠ馬を出したドゥラメンテと同じ血統構成。このまま種牡馬生活を続けると思われたユアーズトゥルーリだが、2年目の種付けを終えると、早々と用途変更となってしまった。

 ロードカナロア産駒の大物サートゥルナーリアの産駒が来年からデビューするので、あくまでその〝つなぎ〟の役目として当初からその予定だったのかもしれない。日本の名門牝系で、キングマンボ3×4、ノーザンダンサー5×4のクロスを持ち、爆発力はありそうなユアーズトゥルーリ。わずか2世代とはいえ、種牡馬の父としてのロードカナロアの評価を高めることはできるだろうか。

著者:東スポ競馬編集部