フランスに滞在していた際のエイシンヒカリと坂口智康調教師(当時調教助手)
フランスに滞在していた際のエイシンヒカリと坂口智康調教師(当時調教助手=平松さとし提供)

 今週末、中山競馬場ではクラシックレースのGⅠ皐月賞が行われる。

 牝馬のレガレイラ(木村)の挑戦が話題となっているが、意地を見せたい牡馬勢もGⅢ共同通信杯の勝ち馬ジャスティンミラノ(友道)ら、土つかずでこの大舞台まで駒を進めた馬が3頭もいる。そのうちの1頭がビザンチンドリーム(坂口)だ。

「2歳の夏前に初めて見た時から『線が細いわりに見栄えがする』という良い印象を受けました」

 同馬についてそう語るのは坂口智康調教師(43)。昨年暮れの新馬戦で豪快な追い込みを決めて勝利すると、今年2月のGⅢきさらぎ賞もゴール直前ギリギリではあったが差し切り勝ち。厩舎開業6年目で初めてとなる平地重賞制覇をマークした。

「その後は早々に皐月賞を目標にして、良い状態です」

 そう語る坂口調教師と私が初めて会ったのは17年前。場所はアイルランドの伯楽エイダン・オブライエン調教師の厩舎。いわゆるバリードイル(クールモアの調教拠点)だった。坂口青年は競馬学校を卒業し、トレセン入りするまでの期間を利用して、海外で研修していたのだ。

 海外といえば2016年にもフランスで再会した。当時、父の坂口正則調教師(引退)の下で調教助手をしていた坂口現調教師は、エイシンヒカリとともにかの地へ入っていた。この馬に関しては、大外まで飛んでいったり大逃げを打ったりと、破天荒な競馬ぶりを覚えておられる方も多いだろう。そんな癖馬を乗りこなすと、なんとGⅠイスパーン賞を10馬身差でぶっちぎって優勝した。

「ビザンチンドリームはスタートがいまひとつで難しい馬に見えるかもしれませんが、エイシンヒカリを思えばかわいいモノです」

 今週末、8年前のエイシンヒカリとの経験が生きるのか。注目したい。(平松さとし)

著者:東スポ競馬編集部