エンプレス杯連覇に挑むグランブリッジ(神奈川県川崎競馬組合提供)
エンプレス杯連覇に挑むグランブリッジ(神奈川県川崎競馬組合提供)

エンプレス杯2024

[JpnⅡエンプレス杯=2024年5月8日(水曜)4歳上、川崎競馬場・ダート2100メートル]

 昨年までは2月下旬〜3月上旬に行われていたが、今年から5月上旬に移行された古馬ダート牝馬路線上半期の頂上決戦・エンプレス杯。また、今年から新設されたグランダム・ジャパン古馬春シーズンの最終戦という役割も担う。底力とスタミナを兼ね備えた乙女たちが春の川崎競馬場に集結する。

 今年もJRA勢は豪華な面々だ。核となるのは昨年の覇者でダートグレード4勝のグランブリッジ(牝5・新谷)。前走のJpnⅠ川崎記念では牡馬相手に2着に好走した。川崎2100メートルは交流重賞のみで〈2・1・0・0〉。馬場も展開も問わないうえにスタミナがあり、しまいは確実に脚を使える。昨年の当レース後は6戦して勝利がなく2着が4回。陣営としては是が非でも美酒を味わいたいところだろう。

 アイコンテーラー(牝6・河内)は昨年のJpnⅠ・JBCレディスクラシックの覇者。前走の川崎記念はグランブリッジとわずかハナ差の3着。自分でレースをつくることができ、前々で立ち回れる点はこの舞台では特に強みになる。GⅠチャンピオンズCでは後方からとなりモマれ込んで14着と崩れたが、それ以外は砂上で〈2・1・2・0〉。牝馬同士の一戦なら当然V候補といえる一頭だ。

 昨年10月のJpnⅡレディスプレリュードで重賞初制覇を成し遂げたのがアーテルアストレア(牝5・橋口)だ。続くJBCレディスクラシックでも3着と善戦し、チャンピオンズCでは9着。今年2月のJpnⅢクイーン賞で2つ目のタイトルを奪取した。昨年の当レースでは4着に敗れているが、当時より確実に力をつけている。加速がスムーズな左回りに替わるのもプラス。最後の決め手は今回のメンバーでも上位の存在だ。

 他方、ライオットガール(牝4・中村)は昨年8月のGⅢレパードSで同世代の牡馬相手に初戴冠。同年11月に3歳馬ながら古馬相手のJpnⅢクイーン賞を勝つなど早い時期から地力の高さを証明してきた。前走のJpnⅢ兵庫女王盃で3つ目のタイトルを獲得しここへ。まだ経験のない2100メートルがポイントとなりそうだが、折り合いに苦労するタイプではないし、スムーズに運べればこなせる範囲だろう。

 注目株はまだまだいる。オーサムリザルト(牝4・池江)は22年11月のデビューからダート1800メートル以上を使われ5戦5勝と底を見せていない。前走のアルデバランSではオープン初戦で牡馬相手に差し切った。初コース、初ナイターなど初物尽くしとなるが難なく突破しても不思議がない大物感の持ち主。父が無敗の米3冠馬ジャスティファイで、半姉に米GⅠスピナウェイSを勝ったシッピカンハーバーを持つ良血でポテンシャルは申し分ない。鞍上は前走に続き、これまでにも3度のコンビを組んだ武豊。〝新星〟がここを勝って一気に牝馬ダート路線の勢力図を塗り替えるか。

 地方勢も虎視眈々と上位進出をもくろむ。キャリックアリード(牝5・藤田輝)はJRAで4勝を挙げ重賞・神奈川記念で2着に入ったあとに転入。クイーン賞3着→兵庫女王盃4着からの臨戦となる。父キズナ×母の父ガリレオと底力にあふれた血統構成からも初の2100メートルはこなせていい。

 グレースルビー(牝7・堀千亜)はブルーリボンマイル→若草賞土古記念と重賞で連勝中。7歳でも成長している。自在に立ち回れて、折り合いに苦労するタイプではないし、初の2100メートルでも今のこの馬なら期待が膨らむ。

 他にも川崎コース〈3・0・1・0〉と相性抜群の逃げ馬マテリアルガール(牝4・小久智)や佐賀ヴィーナスCなど地方重賞4勝のアンティキティラ(牝5・別府真)も展開次第で侮れない存在となりそうだ。

著者:東スポ競馬編集部