バカの恩返し、僕らの場合は「長生きしてね」

長谷川雅紀 全国3000万人のお笑い好きの皆さん、こ〜んに〜ちわ〜!
渡辺隆 相変わらずデカい声だな。
長谷川 錦鯉の独演会ツアー「バカの恩返し」は、今回、10都市12公演と3年前の初開催から倍増させたのに、どこの会場も大盛況。いよいよ7月26日、27日の東京・イイノホールで最終日を迎えます。
渡辺 5月6日のヒューリックホール東京の初日からハプニングがあったね。開演時、着席が間に合わなかったお客さんがいて、オレが「ゆっくり席を探してくださいね」と話しかけたら、雅紀さんも「じゃあ、僕たち、もう一度出直します」って、2人で舞台袖に戻って、再び出囃子に乗って登場したの。
長谷川 それでも、そのお客さん、まだウロウロしてて。ま、僕たちらしいスタートだったね。
渡辺 お客さんの中に、90代の方がいらしてびっくり。80代の人も普通にいたね。そんなお笑いライブってあるかね。
長谷川 おじいちゃんたちも、僕らが舞台でうるさく騒いでいるのをちゃんと受け入れてくれて。けっこう笑っていましたね。どちらにとっても、めちゃくちゃウエルカムでしたね。
渡辺 オレたち、そういう経験があるから、「笑点」(日本テレビ系)出演時も、高齢の方が多い客席だったのに、けっこうやりやすかった。
長谷川 お年寄りの方にも喜んでいただけるよう、会場で売るグッズはかゆいところに手が届く棒、つまり孫の手とかお薬手帳、靴べらキーホルダーなどを用意しました。
渡辺 ただ、孫の手は3200円と高額だったせいか、あまり売れなかったね。かさばるのかな。
長谷川 昨年もそうだったけど、お客さんが「応援うちわ」を作ってきてくれたことにも驚きました。アイドルのライブだったら、うちわに「好きです」とか「コッチ見て」「目を合わせて」とかって書いているのに、僕らの場合は「長生きしてね」「いつまでも元気で」。ありがたいことです。
渡辺 オレたち、残り少ない命ってことで、それを気遣ってくれているのかね。
長谷川 僕が生まれ育った北海道は、独演会ツアーを始めてから毎年開催。小中高校の友達やお笑いを始めた時の知り合いと、年に1回の再会できる場所になっているのがうれしいです。
渡辺 札幌もおじいちゃん、おばあちゃんが比較的多かったね。
長谷川 福岡のお客さんは、昨年もそうだったけど、舞台に登場した瞬間から、大きな拍手がやまなかった。迎え入れ態勢がすごかったですね。
渡辺 場所によって反応に違いはあるよね。大阪のお客さんは「ここで笑って」って思うところで笑ってくれる。生まれながらにして笑いの本能が備わっているのかな。舞台も締まる。岡山のお客さんは桃太郎のネタを真剣に聴いてくれたね。
長谷川 「こんにちわ〜!」って言ったら、すぐに「こんにちわ〜!」って返してくれるところもあれば、出てくるまでずっと手拍子で迎え入れてくれるところもあった。
渡辺 ゼロ歳児がいた会場もあったね。ただ、赤ちゃんが泣いても、ウチらは全然大丈夫。泣き声、雑音あってもいい舞台なんです。
長谷川 ネタの途中に僕が客席に降りて、場内を踊りながら回ってお客さんと交流するサプライズも。
渡辺 お客さんも平気で「雅紀さんの嫌いな食べ物、何ですか?」とか話しかけてくる。
長谷川 観客も参加するライブというか。
渡辺 独演会はテレビのバラエティー番組と違って2人だけでやるわけだけど、反応がダイレクトに入ってくるから、やっぱりやってて引き締まるね。
長谷川 テレビだと3分とか3分半とか尺が決まっているけど、ライブは15分でも20分でもいくらでもOK。あと、やっぱテレビがコンプライアンスとか厳しくなってる中、舞台はちょっと緩い部分があるというか。何でもありっちゃ、ありというか。自由度が違います。
渡辺 新作漫才のネタは切羽詰まってから作り始め、ギリギリまで練り上げてから舞台にかけることが多いんだけど、今回も初日直前にやっと間に合ったね。
長谷川 新作ネタはこちらも手探り。お客さんの前で演じてみて、ここがウケるのかって初めて気づくこともあります。
渡辺 逆に、思っていたのと違ってウケなかったら、どんどん変えていくね。余計な部分は落とし、その分、フリートークが多くなったりして。
長谷川 テレビの錦鯉しか知らない人が、ナマで僕たちを見て、ちょっとびっくりすることもあるね。
渡辺 ま、それもライブの魅力なんだよね。
長谷川 「こんにちわ〜!」の声が思ったより大きかったという話もお客さんからよく聞きます。本物の「こんにちわ〜!」はコレだって伝えたい。
渡辺 雅紀さんの「こんにちわ〜!」は、もうウケるとかウケないとかを超えて、伝統芸能みたいになってきているね。
長谷川 ガハハハ。
渡辺 錦鯉はネタの面白さ以上に、雅紀さんというキャラクターの面白さが売り物。日夜、雅紀さんを観察していると、新たな「突き抜けたバカ」っぷりがにじみ出てくる。
長谷川 ま、とにかく、本物のバカというものをナマで味わってください。
錦鯉(にしきごい)2012年結成。2021年、M-1グランプリで史上最年長優勝を果たす。長谷川雅紀(はせがわまさのり)1971年7月30日、北海道・札幌市出身。ボケ。渡辺隆(わたなべたかし)1978年4月15日、東京・江戸川区出身。ツッコミ。独演会ツアー「バカの恩返し」では、その土地その土地の酒と肴も楽しみ。「初めてツアー公演した新潟では、酒粕の入ったしゃぶしゃぶとでっかい茶碗蒸しがおいしかった」(長谷川)「北海道でジンギスカンのラムしゃぶを食べそこなったのが残念」(渡辺)
と、アサ芸プラスは報じた。
編集者:いまトピ編集部