◇11日 愛知大学野球春季リーグ戦 名城大3―2愛院大(愛院大グラウンド)

 ようやく手にした自身の白星に安堵(あんど)の表情を浮かべた。名城大のエース、岩井天斗(たかと)投手(4年・享栄)は先発で6イニング3安打2失点。5試合目の登板で今季初勝利を挙げた。「やっと勝ててうれしい。チームに助けられた」と5回に勝ち越し点を奪った仲間に感謝した。

 チームは開幕から5連敗と苦しんだが、4月28日の愛工大戦から2連勝中だった。「やっと去年のような勝てるチームになってきている。今なら絶対に点を取ってくれる」。野手陣を信じてマウンドに上がった。立ち上がりの2イニングは四死球で先頭の出塁を許し、2回は四球をきっかけに2失点。変化球主体の打たせて取るスタイルに変え、立て直した。

 昨秋リーグ優勝した名城大を引っ張ったダブルエースの岩井俊介(現ソフトバンク)、松本凌人(現DeNA)が今春に卒業。「自分がやらなきゃ」。気負いがあった。直近の2連勝は後輩の投手陣の力投が引き寄せた。「先輩として恥じない投球をしよう」。チームが3連勝を飾ったこの日は、エースの意地が色濃くにじんだ。

 今秋のドラフトでは、夢をかなえた先輩2人を追ってプロ入りを目指す。開幕試合の中京大戦で自己最速の152キロをマークするなど、球の強さに磨きがかかってきた右腕。残る登板試合には制球を課題に挙げ「優勝はなくなっても、チームの順位を1つでも上にしたい」と意気込んだ。