ゴルフを始めたばかりのビギナーがラウンドをする場合、何打も叩いてしまうと「スロープレーになっているのでは?」と心配になるかもしれません。では、ラウンドで「最低限、何打以内に抑えるべき」といった目安は存在するのでしょうか?

基本的に1ホールで何打叩いてもルール上、問題はない

 コロナ禍では、若い世代でゴルフを始める人が増加しました。ゴルフ場も会員権を持たない「ビジター」でも気軽に来場できるように、余った予約枠をインターネットで受け付けるところが多くなりました。ラウンドを行う敷居が低くなっていることもあり、以前と比較してゴルフ場でプレーをしている全ゴルファーにおけるビギナーの割合は大きくなっています。

ビギナーのラウンドで「最低限、何打以内に抑えるべき」といった目安は存在するのだろうか 写真:AC
ビギナーのラウンドで「最低限、何打以内に抑えるべき」といった目安は存在するのだろうか 写真:AC

 しかし、練習場でしかボールを打ったことがない人は、経験不足や緊張などからうまくボールを飛ばせず、1ホールを終了するだけでも、かなりの時間を要してしまうことも少なくありません。後続組を待たせてしまい、スロープレーになっているのではないかと心配になることもあるはずです。

 では、ビギナーが18ホールを回る上で、「この範囲内の打数で回らなければいけない」といった目安はあるのでしょうか。ゴルフ場の経営コンサルティングを行う飯島敏郎氏(株式会社TPC代表取締役社長)は以下のように話します。

「結論から言うと、各ホールの規定打数(パー)は決められていても、絶対に何打までに回り切らないといけないといったルールは存在しません。何打叩いても特に問題はありません」

「かつては多くのゴルフ場で、『4人1組当たりのハンディキャップの合計はいくつまでにしなければならない』といったローカルルールが存在しました。ゴルフ場はそれなりに経験値のある人がゴルフというスポーツないし娯楽をたしなむために設けられたものであって、昨日今日初めてクラブを握ったばかりの人が来るような場所ではない、という考え方があったからです」

「昔のゴルフ場は今よりもプレーヤーに対する立場が強く、一定の基準をクリアしたスキルを持つゴルファーのみを受け入れることで、全体の進行をスムーズにし、スロープレーを防ごうとしたのです。一方、最近では若い世代など、新規のゴルファーも気軽にラウンドできるように、そういった規制をかけていないゴルフ場が増えました。そこまで打数に関して、敏感になる必要はないですよ」

スロープレーを防止する「オリジナルのルール」を考えてみよう

 打数に関するルールはないものの、9ホールをラウンドする時間の目安として、2時間〜2時間15分が推奨されています。ラウンドに慣れたゴルファーや上級者ならまだしも、コースデビューして間もない人や初心者にとって、このプレー時間は大きな壁となっています。

 では、スロープレーを防止しながらゴルフを楽しむには、どのように対処すればいいのでしょう。飯島氏は、以下のように話します。

「グループ内で相談をし、例えば『ダブルパー(規定打数の2倍のスコア)以上』になったらボールをピックアップして次のホールに向かうといったオリジナルのルールを決めるといいでしょう。2019年に規則が改定され、より多くの人にとってゴルフが親しみやすいものとなりました。ビギナーの方は『カップインするまでギブアップしてはいけない』といったプレッシャーから解放されてのびのびプレーできますし、プレーファストの促進にもつながりますので、ぜひ実践してみてほしいです」

 また飯島氏は、プレーのうまい・ヘタ、スコアは重要ではないとも話します。

「スコアに関係なく、プレー中のひとつひとつの動作が遅い人の方が迷惑がられることが多くなります。例え飛距離が出せずに何打も叩いてしまっても、キビキビと動いてプレーすることが大切です。素振りをすぐに終わらせてショットしたり、パッティングもライン読みに時間をかけ過ぎずにスムーズにプレーを行えば、周りから『ダラダラしている』とは思われずに済みます。途中でギブアップしてもいいから速くプレーしようと心がけることが大切です」

 ゴルフは老若男女を問わず楽しめるスポーツです。さらに、誰もが公平で、スムーズにプレーできるようなルールをつくれば、上級者とビギナーが一緒にラウンドを楽しむことも可能になるでしょう。そうなれば、ビギナーが持つラウンドに対するハードルをより一層下げることも可能になるはずです。

ピーコックブルー