近年は料金が低めで気軽にプレーできるゴルフ場も多くなりましたが、以前は雨の日にラウンドをしたり重いキャディーバッグを持ってくると、割増料金が取られることもあったそうです。

今よりも負担が大きかったキャディーへの配慮?

 最近はビジターでも気軽にプレーを楽しめるよう、料金が安く抑えられているゴルフ場も多いです。雨の日などコンディションが万全ではない日に予約をすると、割引が適用されることもあります。

雨天のラウンドは体力を消耗する 写真:AC
雨天のラウンドは体力を消耗する 写真:AC

 また、キャディーバッグは多少大きいものを持ってきても特に指摘されることはないため、重さを気にしたことがない人もいるでしょう。

 しかし、一昔前までは雨の日にラウンドをしたり、大きくて重いキャディーバッグを使用したりすると割増料金がかかっていたといわれています。本当なのでしょうか? ゴルフ場の経営コンサルティングを行う飯島敏郎氏(株式会社TPC代表取締役社長)は以下のように話します。

「雨の日にかかる割増料金は『雨天手当』などの名称で、実際に基本のプレー料金に加算され、ゴルファーから徴収されていました。現在は乗用カートに乗ってセルフプレーでラウンドするのがすっかり主流ですが、20〜30年ほど前までは、キャディーが各組に同伴するのが一般的でした。18ホールを回るとなると、どんなにスムーズに進めたとしても4時間半はかかり、さらにそこにハーフターンが入ってくると6時間近くを要します」

「ランチを取る時は、キャディーもお客さんと一旦解散して休憩に入ります。しかし朝から夕方まで一つの組に付いてクラブ選択やアドバイス、キャディーバッグの運搬などのお世話をしてくれるので、通常でもかなりの重労働です」

「雨の日にはより体力を消耗しやすくなることから、キャディーへの配慮として、1ラウンドあたり1000円前後上乗せされていました。また、キャディーバッグの総重量がゴルフ場の定めている基準を超えた際にも、雨天手当と同じで割増料金がかかっていました」

「コースによっては、キャディーさんが手引きカートを引っ張って運んでいたところもありました。バッグの重さは10キロを超えることも珍しくなく、体への負担が大きくなってしまいます。そこで、スタート前に重量を計測し、一定のラインより重いものを運んでもらうには、プラスアルファで料金を支払うよう求めていました」

「重量割増について、過去に規定を定めていたとあるゴルフ場では、11キロ未満まで割増はかかりませんでした。11〜13キロ台までは一つにつきおよそ1000円、14キロ以上の場合は3100円以上を徴収しており、ハーフラウンドはその半額としていたようです。このような割増料金はバブル期に最盛期を迎えたとされ、同時にキャンセル料も比較的高めに設定していたそうです。かつてゴルフ場は、フィーに関してかなり強気の態度を取っていたともいえます」

「一方でバブルが崩壊してからは、多くのゴルフ場がキャンセル料や割増ばかりを取っていると客離れを加速させてしまうと恐れ、一時期は追加料金の設定に消極的な姿勢を見せていました。ところが、コロナがきっかけで新規のゴルファーが増加したことや人件費・光熱費・施設の維持費の高騰が影響し、再びキャンセル料を復活させているところも増えてきています」

今では珍しくなったキャディーへの「お心付け」文化

 また、飯島氏は「昔はキャディーへの待遇がかなり手厚かった」と話します。

「現在はコース内に2カ所ほど売店が設置されていて、基本的には軽食やドリンク、品ぞろえはそこまで多くはないものの、ボールやティーなどのゴルフ用品が販売されています。最近ではあまり見かけませんが、一昔前のコース売店にはお米や油、洗剤やストッキングなど、一見するとゴルフとは関係がなさそうな商品も売られていました」

「これらは全て『キャディーへのお心付け』用のもので、ゴルファーが1日付き添ってくれたことへのお礼として購入し、ラウンド終了後にキャディーに渡していました。日本にはチップの文化はありませんが、その代わりとして多くのゴルフ場で生活用品も扱っていたのです」

 最近になってゴルフを始めたビギナーの中には、「キャディー同伴でのラウンド」の経験がない人も大勢いるでしょう。体力が必要で、大変な仕事に変わりはないですが、待遇については今よりも恵まれていたといえそうです。

ピーコックブルー