一緒にラウンドしたことがない人を初めてゴルフに誘うと、「おれエンジョイゴルファーだよ」と宣言されることがあります。逆に、ゴルフを楽しんでいない人なんているの? と、困惑した経験のある人もいるかもしれません。「エンジョイゴルファー」とは具体的にどのようなゴルファーを指すのでしょうか。

「エンジョイゴルファー」の対義語は「競技ゴルファー」!?

 一緒にラウンドした経験がない人をゴルフに誘う際は、大雑把に自身の平均スコアや実力を相手に伝えるものです。実力がかけ離れすぎているとプレースピードが異なり、迷惑をかけてしまう可能性があるので、お互いの技量を把握しておいたほうが無難です。

ミスしたって笑顔! 写真:AC
ミスしたって笑顔! 写真:AC

 自身の腕前は「平均スコアはだいたい〇〇ぐらい」「週に1回練習して月に1回ラウンドしている」といった形で伝えるのが一般的ですが、加えて「俺、エンジョイゴルファーだから」と、ゴルフに取り組む姿勢を伝えてくる人もいます。

 なんとなく「スコアを追求するよりも、ゴルフを趣味として楽しんでる人」であることはイメージできますが、具体的には、どのようにゴルフを楽しむ人がエンジョイゴルファーなのでしょうか。ゴルフ場の経営コンサルティングを行う飯島敏郎氏(株式会社TPC代表取締役社長)の解釈は次のようなもの。

「エンジョイゴルファーは、趣味としてゴルフを楽しむ人であり、対局にあるのは『競技ゴルファー』だと思います。競技ゴルフはルールに厳格で、とにかくスコアを追求していきますが、エンジョイゴルファーは常識の範囲内でルールを省略したり拡大解釈したりして、ストレスなくゴルフを楽しみます」

「たとえば競技ゴルファーの場合はカート道で救済を受ける際、ゴルフ規則のルールに従って『二ヤレストポイントを決めて……ワンクラブレングス以内にドロップ』とプレーします」

「一方エンジョイゴルファーの場合は、二ヤレストポイントをあえて設定せずに常識の範囲内で打ちやすい場所にドロップします。一緒にラウンドしている仲間もそれに対してとやかくいうことはありません」

 エンジョイゴルファーはゴルフをあくまで趣味として楽しんでいるので、そこまでスコアに固執しません。日常を忘れて広大な自然の中で体を動かす、久しぶりに会った仲間と会話をしながらプレーするなど、スコア以外の部分も重要視します。

 また自分自身はルールに厳格にプレーしていたとしても、それを同伴者に強要するようなことはしません。真剣勝負の競技ゴルフは厳格にルールを順守しなければ成立しませんが、エンジョイゴルファーは個々がストレスなく楽しめることが第一優先です。

「エンジョイゴルファー」はどんな同伴者とも楽しめるという宣言!?

 お一人様向けの予約サービスでは、自分がどのようなゴルファーなのかをプロフィールに記入することができます。多くのゴルファーが「エンジョイゴルファーです。よろしくお願いします」と宣言していますが、わざわざ自身がエンジョイゴルファーである旨を伝えるメリットはあるのでしょうか。飯島氏は以下のように話します。

「競技ゴルファーの場合は、『なぜミスをしたのか』『どのようにコースマネジメントをしていくのか』など常に考えながらプレーしているので、無言で黙々とプレーする人がほとんどです。しかしエンジョイゴルファーの場合は、雑談をしながら和気あいあいとプレーをします」 「ビギナーからしてみればボギーをとれる機会は滅多にないので、同伴者と喜びを分かち合いたいものですが、競技ゴルファーからしてみればボギーはミスという認識なので、ゴルフに対する価値観が異なり喜びをあまり共有することができません。ボギーをとれて喜んでいる横で、ボギーで落ち込んでいる同伴者がいたら嫌ですよね」

「エンジョイゴルファーであることを宣言することにより、自身がギスギスするタイプではなく同伴者と合わせて楽しくプレーするゴルファーであることをアピールしていると捉えることもできます」

 ゴルファーの中には、結局は自分と実力が同じくらいのゴルファーと回るのが気楽で楽しいと感じている人も多いかもしれません。

 技術の向上を目指すのであれば、あえて上級者と回って勉強するのも一つの方法ですが、ゴルフへの取り組み方は人それぞれなので、自分が一番楽しめる同伴者はどんな人なのか見極めて回るのが一番でしょう。

ピーコックブルー