■業績動向



1. 2023年12月期の業績概要

不二精機<6400>の2023年12月期の連結業績は売上高8,264百万円(前期比5.5%増)、営業利益425百万円(同12.0%減)、経常利益398百万円(同20.8%減)、親会社株主に帰属する当期純利益233百万円(同31.3%減)となった。増収は確保したものの、原材料費の高騰一巡も経費等がアップ、EV向け部品開発などの販管費で費用増があり、減益を余儀なくされた。2023年11月8日の修正予想に対しては売上高で84百万円未達成も、営業利益で46百万円、経常利益で51百万円、親会社株主に帰属する当期純利益でも51百万円上振れて着地した。



事業別では、射出成形用精密金型及び成形システム事業は売上高2,943百万円(前期比2.6%減)、営業利益225百万円(同9.6%減)となった。収益性の高い医療用・食品容器用精密金型の売上高が1,502百万円(同1.4%減)と伸び悩み、自動車向けが696百万円(同32.4%減)と国内向けが極端な不振となったことから全体で減収となっている。ちなみに不二精機単独決算は売上高2,480百万円(同14.3%減)、営業損失39百万円(前期比138百万円悪化)、経常損失49百万円(同123百万円悪化)となっており、国内の自動車用金型の不振、EVユニット部品開発のコスト増が影響して損失を計上したことが連結利益にも影響、セグメント全体では減収影響に加えMIX悪化も加わり減益の要因となった。



精密成形品その他事業は、売上高5,321百万円(前期比10.6%増)、営業利益205百万円(同1.9%減)となった。売上面では主力の自動車部品用成形品が4,346百万円(同18.4%増)と2桁増収となった。特にインドネシアにおける前期の半導体不足影響の反動増も加わり、インドネシア現地法人の売上高(2023年9月期)が2,024百万円(36.8%増)と大幅増となったことが大きい。利益面ではインドネシアは経常利益で264百万円(同33.3%増)と伸長したものの、中国での不振、セグメント全体では原材料の高止まりなどが影響し減益を余儀なくされた。



全社の営業利益の増減では、増収効果、材料費・外注加工費の軽減、為替円安効果のプラスに対し、労務費・経費等の増加、販管費負担増などの影響が大きく、減益となった。



(執筆:フィスコ客員アナリスト 岡本 弘)