フロア写真は空力エンジニアの”大好物”! モナコGPで宙吊りにされたレッドブルRB19を「舐め回す」とメルセデス
このRB19のフロアを写した写真から、ライバルチームたちは速さの秘訣を探ることになると、メルセデスのトラックサイドエンジニアリングディレクターであるアンドリュー・ショブリンは語っている。
2022年シーズンから新たなテクニカルレギュレーションがF1に導入され、グランドエフェクトマシンが復活。エンジニアは、全体の空力パフォーマンスの60%がフロア面から引き出されていると推測しており、各チームともこのエリアを隠そうと躍起になっていた。
しかし、モナコのサーキットは基本的にマシン退避用のウォール切れ目が少なく、クラッシュしたマシンはコース脇に設置されたクレーンで吊るされ、コース外へと移動させられることが多い。そのため予選ではペレスの『RB19』、その前のフリー走行3回目ではルイス・ハミルトンのメルセデス『W14』が宙吊りになり、フロア面が白日の下に晒された。
メルセデスとレッドブルは同じ憂き目に遭ったものの、モナコGPを含めここまで全戦全勝のレッドブルの方がはるかに厄介に思っているはずだとメルセデスのショブリンは言う。
motorsport.comがショブリンに、ライバルのフロア写真を見たかと尋ねると彼は次のように答えた。
「レッドブルは多分、自分たちのマシンが宙吊りにされていることに、我々よりもっと苛立っているだろうね」
またリフトアップされた時、RB19が水平を保っていた一方で、W14はリヤが下がり重量配分が偏っていることを示唆する声が多く訊かれた。
しかしショブリンは、重量配分よりもフロアが重要だと強調する。
「数年前、重量配分が48%から43%の間だった時は、もう少し気を使っていた……マシンの重心がどこにあるのかを探していた。ただ最近は、レギュレーションによってかなり狭い領域でしか作業できないのだ」
「正直なところ、このレギュレーションで最も重要なのは、普段見ることのできない部分だ」
「だからF1チームは、そういう写真ばかりを舐め回すようになるだろう。モナコはそういう写真を得る良い機会なのだ」
アストンマーチンのパフォーマンスディレクターであるトム・マッカローは、RB19のプランクが明らかになったことで、マシンが路面のバンプにどう対応しているかが分かると語っている。
「知っての通り、素晴らしい写真があるね!」
「多くの人がその場にいたから、空力担当は宙吊りになった全てのマシンを分析していることだろう」
「ありがたいことに、我々のマシンはまだ吊られたことはない。このまま晒されないといいね!」
「空力担当は、絶対にフロアを見せたがらない。プランクがどう擦れているかを見るだけでも、多くを学ぶことができる。何が当たっているかだけで得るモノがある」
「ピットレーンには興奮した空力の専門家が沢山いて、全てに目を光らせているのだ」
一方でウイリアムズの車両パフォーマンス責任者のデイブ・ロブソンは、これらの画像の有用性を疑問視。光の加減によってRB19のフロアを「コピーするのは難しい」と語っている。
「光の入り方がかなり曲がっているから、2Dの写真ではとても複雑に見える。だから何も分からないよ」
「偶然の一致なのだろう。ダウンフォースを得るためのに、みんな見ているんだろうが、コピーするのは難しいよ」