RBの角田裕毅は、F1オーストラリアGPで7位フィニッシュ。開幕3戦とも予選で好結果を残してきた角田は、あとは決勝で好結果に繋げることが求められてきたが、これを3戦目で達成した格好だ。

 角田は来季以降のレッドブルのドライバー候補として見られたいという想いを公言しているが、今回の結果はその後押しとなるのか? レッドブルのモータースポーツ・アドバイザーであるヘルムート・マルコ博士は、角田の走りを賞賛しつつも、「早合点は禁物」だと語った。

 角田は8番グリッドからレースをスタート。アストンマーティンのランス・ストロールに先行されるも、その後は同等のペースを発揮してレースを走り切り、前のポジションからスタートしたマックス・フェルスタッペン(レッドブル)やジョージ・ラッセル(メルセデス)がリタイアしたことで、8番手でフィニッシュ。レース後にアストンマーティンのフェルナンド・アロンソにペナルティが科されたことで、最終的に7位に繰り上がった。中団グループで戦うRBにとって、あまりにも貴重な6ポイントを手にした。

「確かに、今回の彼は、どのラップでも競争力があった」

 そうマルコ博士は語った。

「彼は何もミスを犯さなかった。落ち着いていたね」

 しかしマルコ博士は、今回の結果により、すぐにレッドブル昇格の話が進むわけではないとも語った。

「これまでも言ってきたように、1回良い結果が出たからといって、早合点するわけにはいかない。そういう方向で検討されるためには、彼はもっと改善する必要があるだろうね」

 昨年マルコ博士は、ニック・デ・フリーズと組んでいた頃の角田について「彼のスピードは過小評価されている」と常々語っていた。ただ、もしレッドブルのシートに空きが出た場合の後任最有力候補とされているのが、角田のチームメイトであるダニエル・リカルドの方だ。

 しかし今季ここまでは角田がリカルドを圧倒。予選ではすべて角田の方が良い結果を手にしており、決勝レースでもチームオーダーが発令された開幕戦以外は、角田の方が前でフィニッシュしている。

 角田がこれだけ安定してリカルドを倒すようになるとは思っていなかったのかと尋ねられると、マルコ博士は次のように語った。

「我々がダニエルを復帰させたのは、レッドブル・レーシングの候補になれるよう、以前の調子を取り戻せると考えたからだ」

 そうマルコ博士は言う。

「しかし現時点で彼は苦しんでいる。彼が調子を取り戻せることを望んでいるよ。しかしそのためには、ユウキを倒せるようにならなければいけない。でも、それは簡単なことではないよ」

「ダニエルは過去に、自分が速いドライバーであることを証明している。苦戦しているのは、おそらくメンタルの問題だろう。そういうことは時々起きるんだ」

「彼のクルマに問題があるわけではない。いずれのドライバーも、チームメイトのデータを参考にできる。そこに秘密はないよ。彼らは同じクルマを持っている。すべて同じだ。だから普通に考えれば、これはドライバーのメンタルな問題なんだ」