環濠集落や館は城に含まれるのか?
お城の本などでは、一般的に「城」というイメージのない鎌倉時代などの武士の居館や、沿岸警備用に大砲を設置した幕末の台場なども、「城」として紹介されています。 

そこで「城とは何か?」という根本的なお話になるわけですが、結論から言ってしまうと、城の定義は非常にあいまいです。そのため、一般的な「城=天守」のイメージからはほど遠い、驚くほど広範囲にわたるものが「城」に含まれることがあります。

そもそも「敵から身を守るための軍事的防御施設」というのが最大公約数的な城の定義なのですが、城の研究・調査には、歴史学・考古学・軍事学・地理学・建築学などたくさんの専門家が携わっていて、その専門によっても見方や解釈が違います。

また、軍事施設・政庁・住居の線引きが難しいこともよくあります。例えば「城館」という言葉がありますが、「館」は「住居」の比重が高い言葉ですから、「城館」は軍事施設と住居(あるいは政庁も)を兼ねた複合的な施設を指すことになります。

それでは「城」と「城館」の何が違うかというと、それはもう専門家によって千差万別の意見があり、明確に定義することはできません。