6−0──。ブライトンがプレミアリーグでクラブ史上最高の勝利を収めた。快晴の土曜日──イングランドでそれは貴重なものだ──に考えうるベストな結果。選手、コーチ陣、クラブスタッフ、そしてファンの誰もが、これ以上ないほどにハッピーになった一日だ。
 
 ただしエースの三笘薫は、11月のアストン・ビラ戦以来17試合ぶりに先発を外れた。

「監督がフレッシュな選手を使いたいという考えはわかりました」と56分に投入された三笘は試合後のミックスゾーンで話した。

「毎試合(先発で)出られるようにコンディションをつくっているので、監督(の決断)を尊重しますけど、選手としては(常に先発で)出たいと思っています」

【動画】途中出場直後にキレキレのドリブルで左サイドを攻略する三笘
 もっとも、ロベルト・デ・ゼルビ監督にとっても、簡単な決断ではなかったようだ。試合後の記者会見で、筆者が三笘を先発から外した理由を訊くと、43歳のイタリア人監督は次のように応じた。

「今、私たちはタフな時期を過ごしている。ものすごく試合が多く、こんな状況には慣れていない。これまではほとんどミトマ、(アレクシス)マク・アリステル、(モイセス)カイセドを休ませることができていなかった。彼らを先発に選ばないことは、本当に難しいんだ。非常にレベルの高い選手たちだからね」

 ところが、監督のその決断は最良のものとなった。マンチェスター・ユナイテッドとのFAカップ準決勝、そして前節のプレミアリーグのノッティンガム・フォレスト戦で連敗していたことが幻だったかのように、ブライトンは前半からウォバーハンプトンを完全に凌駕。目覚ましいパフォーマンスで面白いように得点を重ねた。

 デニス・ウンダフが一度、パスカル・グロースとダニー・ウェルベックが二度ずつネットを揺らし、56分に三笘が投入された時には、スコアは5−0となっていた。

「5点をリードしている時に投入されるのは、実は簡単ではないんだ」と指揮官は話した。「それでもミトマらは、(大差を気にすることなく)ものすごく真剣にプレーしてくれた」
 
 実際、三笘はピッチに入ってから2分後に、スピーディーなドリブルで左サイドを抉ってクロスを送り、決定機を演出。さらに66分にはウンダフと共にマテウシュ・ヌネシュを囲い込み、球を奪ったウンダフの美しいループシュートのチーム6点目に寄与している。

「(自分もゴールを決めたいと)欲は出ますけど、チームのためにプレーすることが大事なので、そのために自分のプレーを出せればと」と三笘は明かした。

「途中出場なので、相手も疲れていましたし、行けるところは行くという感じで」

【動画】途中出場直後にキレキレのドリブルで左サイドを攻略する三笘
 久しぶりの途中出場となったが、あらためて監督はその決断を簡単に下したわけではないと言っていたと伝えると、今やイングランドのフットボールファンの誰もが“センセーショナル”と称える25歳のアタッカーはこう締めくくった。

「カイセド、マク・アリステル(という中心選手)も出ていないので、そういう決断はわかりました。それでも他の選手が出て(活躍して)いるので。替えの利かない選手になっていかないといけないと思っています」

取材・文●井川洋一

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