4月7日(日)、阪神競馬場で3歳牝馬によるGⅠ桜花賞(芝1600m)が行なわれる。

 今年は「牝馬の実力ナンバーワン」とも言えるレガレイラが出走せず、GⅠ皐月賞に向かうことに。ただ、GⅠ阪神ジュベナイルフィリーズ勝ち馬のアスコリピチェーノ、同2着のステレンボッシュと同3着のコラソンビート、GⅡチューリップ賞勝ち馬のスウィープフィート、GⅡフィリーズレビュー勝ち馬のエトヴプレ、GⅢクイーンC勝ち馬のクイーンズウォーク、GⅢフェアリーS勝ち馬のイフェイオンなど、実績馬が順調に駒を進めてくる。

 抜けた存在はいないが、実力伯仲で予想しがいのあるレースだ。そんなレースを血統的視点から占っていこう。


前走のチューリップ賞は3着だったハワイアンティアレ photo by 山根英一/アフロ

 直近2年の勝ち馬スターズオンアース、リバティアイランドはいずれもドゥラメンテ産駒(その父はキングカメハメハ)。さらに3年前の勝ち馬ソダシ、4年前の勝ち馬デアリングタクトは母の父がキングカメハメハと、4年連続で"キングカメハメハの孫"が勝利している。

 ここ数年の牝馬三冠レースにおけるキングカメハメハの重要度は非常に高く、2020年に桜花賞を制したデアリングタクトから、2023年の秋華賞を制したリバティアイランドまでの4年合計12レースのうち、実に11レースの勝ち馬がその血を持っている。まずは、キングカメハメハを持つ馬を重要視したい。

 今年の出走予定馬のなかでキングカメハメハ系は1頭。それは、ロードカナロア産駒のハワイアンティアレ(牝3歳、栗東・松永幹夫厩舎)だ。

 同馬の父ロードカナロアは、2018年に桜花賞を含む「牝馬三冠」を達成するなどGⅠを9勝した名牝アーモンドアイの父。母モアニケアラはダート1200mと1800mで計5勝を挙げた実力馬で、その父で菊花賞などGⅠを3勝したマンハッタンカフェは、昨年の日本ダービー(東京・芝2400m)を勝ったタスティエーラや、今年のGⅠフェブラリーS(東京・ダート1600m)を勝ったペプチドナイルの母の父としても存在感を示している。ペプチドナイルはロードカナロアの父キングカメハメハ産駒なので、同馬とは非常に似た血統だ。

 ハワイアンティアレはこれまで3戦1勝。昨年11月の新馬戦(京都・芝1600m)は7着と敗れたが、年が明けて2月の未勝利戦(京都・芝1600m)で勝ち上がり。

 前走のチューリップ賞(阪神・芝1600m)は15番人気だったが、後方から鋭い末脚を伸ばし、勝ったスウィープフィートから0秒3差の3着に入った。1000m通過57秒7のハイペースの展開がハマった面はあるが、桜花賞は例年、先行争いが激化して追い込み競馬になることも多いので、再び展開が向くケースは十分考えられる。チューリップ賞に続く激走に期待したい。

 もう1頭はセシリエプラージュ(牝3歳、栗東・中村直也厩舎)を推す。同馬は母の父がキングカメハメハで、父は現3歳が初年度産駒の新種牡馬ブリックスアンドモルタル。ブリックスアンドモルタルは米GⅠBCターフ(芝2400m)など米国の芝GⅠを5勝した米年度代表馬だ。

 セシリエプラージュは、母がフィリーズレビュー2着から桜花賞3着と好走したアットザシーサイド。セシリエプラージュ自身もフィリーズレビュー3着から、桜花賞は同じく5戦目と、同じような臨戦過程となっている。

さらに祖母ルミナスハーバーは、阪神ジュベナイルフィリーズ(阪神・芝1600m)の3着馬。なかなか重賞を勝てない一族ではあるが、代々GⅠで好走している牝系であり、本馬にも期待したい。

 以上、今年の桜花賞はロードカナロア産駒ハワイアンティアレ、ブリックスアンドモルタル産駒セシリエプラージュの、"キングカメハメハの孫"2頭に注目する。

著者:平出貴昭●文 text by Hiraide Takaaki