プレミアリーグ第27節、ノッティンガムの本拠地シティ・グラウンドに乗り込んだ首位リバプールは、後半アディショナルタイムにダルウィン・ヌニェスのヘッド弾で劇的な勝利を飾っている。

　この決勝ゴール、ウルグアイ人FWにラストパスを通したのはアレクシス・マク・アリステルだったが、プレーをさかのぼると、相手が自陣ペナルティーエリアでボールを保持しようとしたところで的確にプレッシャーをかけ、マク・アリステルにボールが渡るようお膳立てした遠藤航の動きがあった。

　アジアカップを終えてチームに復帰して以降、４試合連続でフル出場を果たし、カラバオカップ決勝のチェルシー戦では延長戦を戦い抜いてタイトル獲得に貢献した31歳は、この試合で足首を痛めたこともあって、FAカップ５回戦のサウサンプトン戦は欠場したものの、ノッティンガム戦では60分からピッチに立ち、コンディションが完全ではない中でも、要所を抑えたプレーを見せ、前述の通りの結果に繋がる仕事も果たしてみせた。
 　英国のサッカー専門メディア『Football365』は、「プレミアリーグ第27節の勝者と敗者」と題した記事で、「勝者」のひとりにマク・アリステルを選定したが、彼に言及する中で、「遠藤のタックルが試合を変える素晴らしい瞬間の礎となり、マク・アリステルの決勝アシストに繋がったことは、どれほど適切だっただろう」と日本代表キャプテンも称賛し、以下のように続けている。

「この中盤のコンビは、今月初めのバーンリー戦（プレミアリーグ第24節）までは一緒に起用されることはほとんどなかったが、遠藤の守備的な能力が、リバプールが最も必要としている時に、マク・アリステルの攻撃的な貢献を引き出すのに役立った」

　一方、リバプールのクラブ専門メディア『ROUSING THE KOP』は、「遠藤が果たした役割を過小評価することはできない。リバプールがボールを失ってプレッシャーをかけられていた時間帯に、中盤を固めるのに大いに貢献した。そして、ヌニェスの決勝点の前にリバプールのボールポゼッションを取り戻す上で、重要な役割を果たした」と、こちらも背番号３の貢献を高く評価した。　ユルゲン・クロップ監督はノッティンガム戦の後、「終盤、我々は４バックとGKのクイービーン・ケレハー、そしてワタルを使って、特別な守備をした」と明かし、ここでも遠藤が重要な役割を果たしたことを強調しているが、今季での退任が決まっているこのドイツ人指揮官に対しては、『ROUSING THE KOP』がその功績のひとつとして、遠藤の獲得を挙げている。

　昨夏、クロップ監督はモイセス・カイセド（現チェルシー）の獲得を逃した後、ソフィアン・アムラバトと遠藤のいずれかの選択を迫られ、後者を選んだが、「当時、アムラバトはモロッコ代表として、カタール・ワールドカップで素晴らしいパフォーマンスを発揮しており、非常に知名度の高い選手だった。一方、遠藤はあまり知られていなかったため、ファンはクロップの決断を疑問視した」（同メディア）。
 「しかし、それは見事な一手となった。マンチェスター・ユナイテッドにレンタル加入したアムラバトはシーズン通じて苦戦しており、週末のシティとのダービーにおける彼のエラーがそれを浮き彫りにした。一方、遠藤はアンフィールドでカルトヒーローとなり、幾つかの素晴らしいパフォーマンスを披露。この日本代表選手ははるかに優れている」

「時には、監督の直感を信じる必要がある。クロップはブンデスリーガをよく知っており、遠藤をアンフィールドに連れてくることでどうなるかを非常によく理解していた」と、指揮官の英断、そして彼の期待に見事に応えた遠藤に対し、同メディアは賛辞を贈った。

構成●THE DIGEST編集部

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