横山武を背に楽な手応えで1馬身先着のソールオリエンス(右)

日本ダービー2023

[GⅠ日本ダービー=2023年5月28日(日曜)3歳、東京競馬場・芝2400メートル]

<美浦>2021年ダービーではエフフォーリアとのコンビで、ハナ差2着に敗れた横山武。あの時の悔しさを胸に抱きながら、2年前と同じように皐月賞を制して臨む大一番。初のダービー制覇という騎手人生にとって大事な節目に、今年は縁のある手塚調教師と挑むことになる。

 実は鞍上の重賞初制覇は手塚厩舎のウインマリリン(20年フローラS)。「久々のGⅠをソールオリエンスの皐月賞で取らせてもらいましたが、僕の人生の大事なポイントで手塚先生とかかわりがあるんですよね。先生は寛大でジョッキーの意見をよく聞いてくださるし、事細かに指示されるわけではありません。その信頼に全力で恩を返したいという思いがあります」。横山武は手塚師との強い縁を感じている。

 さらに言えば、ソールオリエンスを担当する名畑助手と横山武は競馬学校の厩務員課程、騎手課程で同時期に在籍した仲。皐月賞ではレース後に両者がガッチリ握手を交わすシーンがファンの心を打った。当然、横山武の名畑助手への信頼も絶大だ。「年齢は少し離れていますが、競馬学校で一緒でした。よくご飯に行きましたが、とても真面目で優しい人です。彼の手がける馬が走るのは、決して偶然ではないと思います。あれだけ一生懸命にやるから、馬が応えてくれるんでしょうね」

 ジョッキー、調教師、担当助手。縁のある3人で挑むダービーの総仕上げは24日朝、横山武を背に南ウッドで行われた。角馬場でじっくりと体をほぐした後、ベストフィーリング(古馬3勝クラス)の内、馬場の八分どころを2馬身半追走した。終始楽な手応えながら直線入り口であっさり併走馬をとらえると最後もしっかりした脚どりで1馬身先着した(6ハロン84・3―11・3秒)。

 手塚調教師は「短期放牧を挟んで順調に調整できました。皐月賞前と比べて時計は同じくらいでも、動きはいいですね。内面が良くなっているのだと思います」と確かな良化を感じ取っている。

 担当の名畑助手も「今までで一番順調にきており、何のトラブルもないですね。間隔が詰まっているのでもっとテンションが上がるかと思ったのですが、レース間近の割に落ち着いています。前走と同じくらいの体で出せればいいですね」と万全の仕上げを強調した。

 史上8頭目の無敗の2冠馬誕生へ――。その視界は極めて良好だ。

著者:東スポ競馬編集部