お母さんからすると、子どもをその気にさせるためにかけた言葉かもしれませんが、ここには、言葉でコントロールして子どもを操作する危険性が潜んでいます。

親の言葉で自分の本当の気もちにフタをしてしまう

子どもは大人が思うよりずっと、ちゃんと自分で考えています。それを言語化したり、うまく表現したりする力は大人に比べて未熟ですが、自分が望んでいることは、子ども自身がいちばんよくわかっています。そして、お母さんやお父さんが、自分に何を望んでいるかも。

大人より想像力や適応力が高いからこそ、子どもは無意識に親が望むような行動をとったり、自分の本当の気もちにフタをしてしまったりすることがあるのです。

お母さん、お父さんも自分が子どもだったころのことを思い出してみてください。すごく好きなことをやろうとして、その気になっていたのに、大人の行動や発言によって、その気もちにフタをしてしまったこと、ありませんでしたか。

親はそのときの感情や感覚で「なんでやらないの?」「どうしてできないの」「こっちのほうがいいんじゃない?」などといってしまいがちですが、子どものプライドは少しずつ傷ついています。だから親がいえばいうほど、やる気をなくしてしまうこともあります。

またママ友との会話のなかで、謙遜しているつもりで子どもの前でプライドを傷つけるようなことをいってしまう親御さんもいます。

「うちの子、まったく勉強ができなくて」「本当に何をやってもダメなのよ」などとわが子をつい下げてしまう。大人のコミュニケーション術といえばそれまでですが、もしも子どもがそれを聞いていたら、どう思うでしょうか。