ルノーは2024年2月26日、新型「5(サンク)」を世界初公開しました。どんなクルマなのでしょうか。

全長3920mmのBセグメント・コンパクトハッチバックEV

 仏ルノーは2024年2月26日、スイス・ジュネーブで開催中のジュネーブ国際モーターショー2024において、新型「Renault 5(ルノー・サンク)E-tech electric」を世界初公開しました。

 ルノー5とは、1972年に初代が発売されたコンパクトハッチバックモデルです。

 全長3520mmのBセグメントコンパクトカーながら、実用性の高さと優れたデザインのため、登場してまもなく欧州でベストセラーとりました。日本にも正規輸入されました。

 1984年には2代目にフルモデルチェンジ、1990年に後継モデル「クリオ(日本名:ルーテシア)」が登場するまで欧州を中心に人気を誇っていました。

 そんなルノー・サンクの車名が、およそ30年ぶりにEVとして復活しました。

 新たにAmpR Smallプラットフォーム(旧CMF-B EV)を採用。フロントサスペンションなど、電気性能に影響を与えない多くの部品をクリオと「キャプチャー」に使われているCMF-Bプラットフォームと共有することでコストを削減しています。

 搭載されるモーターは3種類。70kW(95馬力・215Nm)/90kW(120馬力・225Nm)/110kW(150馬力・245Nm)から選ぶことができます。

 また搭載されるリチウムイオンバッテリーは40kWhと52kWhの2種類用意されます。WLTP航続距離は52kWhの場合400km、40kWhの場合は300kmとされています。

 110kWモーター及び52kWhバッテリーバージョンの場合、0−100km/h加速は8.8秒、最高速度は150km/h(リミッター)というパフォーマンスを発揮します。

 ボディサイズは全長3920mm×全幅1770mm×全高1500mm、ホイールベースは2540mmで、「トゥインゴ」よりも300mm長く、「クリオ(日本名:ルーテシア)」よりも130mm短いという立ち位置になっています。車両重量は1350kg(40kWhバージョン)から1450km(52kWhバージョン)となります。

 乗車定員は5名。リアシートは60:40の分割可倒式で、荷室容量はVDA値で277リッター、床下を合わせると326リッターものスペースが広がります。

デザインは往年の「5」のアイコンを踏襲したレトロフューチャー

 新型ルノー・サンクのデザインは1972年に登場した初代サンクのアイコンを踏襲、「レトロフューチャー」スタイルを採用しています。

世界初公開されたルノー新型「5(サンク)」のインテリア。オプションのバゲットカゴが見える

 人間の目のようなヘッドライトや垂直のリアライト、明るいボディ色、カラールーフトリム、ボンネットのベントグリルなど、従来のサンクから多くを現代に蘇らせています。
 
 オリジナル・サンクのボンネットにあるベントグリルは、時代に合わせ充電インジケーターとして再活用されています。これはドライバーがクルマに近づくと点灯します。またLEDヘッドライトは、ドライバーが近づく際にはウインクをして出迎えます。

 インテリアはクラシック・サンクのデザインを現代的にアレンジ。2層のパッド入りダッシュボードや⾓が丸い⻑⽅形の計器クラスターなどが目につきます。

 10.1インチのデジタルインストルメントパネルを用意(エントリーレベルでは7インチ)。ここには5つの異なるビューから選択できる運転情報が表⽰されます。センターコンソールのマルチメディアディスプレイはすべて10インチサイズを採用します。
 
 ドライバーが目にするデジタルメーターパネルには、従来のモノクロではなく、カラフルな英数字で速度などが表示されます。

 2021年1月にショーカーとして新型ルノー・サンクが登場してから市販車が登場するまで、通常の開発期間が4年のところわずか3年で開発されました。
 
 ルノーグループCEOのルカ・デメオ氏は「ルノー・サンクE-Techエレクトリックは、他とは異なるクルマです。欧州の人々は電気的でコネクテッドで持続可能な新たなモビリティを目指しています。我々はバリューチェーン全体のコストを最適化し、産業エコシステムを再配置するために、欧州の小型車の100%電気プラットフォームに賭けたのです。このクルマはルノーにとって新たな道を切り開きます」とコメントしています。 

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 新型ルノー・サンクは、エントリーレベルでは2万5000ユーロ(日本円で約408万円)という価格とされています。フランス北部にあるドゥエー・モーブージュ、ルイッツの3工場を統合したエレクトリシティ複合施設で生産されます。