F1アゼルバイジャンGPのスプリントが行なわれ、レッドブルのセルジオ・ペレスがトップチェッカーを受けた。この短距離レースのレースペース推移を見ると、フェラーリのシャルル・ルクレールは、極度のデグラデーションに見舞われていたことが分かり、決勝に向けて大いに不安を残した。

 ルクレールはスプリントシュートアウトで最速タイムを記録し、スプリントをポールポジションからスタート。レース序盤は首位を走ったが、後方から迫ったペレスに、DRSを駆使して抜かれてしまった。

 その後しばらくはペレスについていったものの、13周目からガクリとペースが落ちてしまう。その後もどんどんペースは落ちていき、最終ラップはアルファタウリのニック・デ・フリーズとほぼ同じラップタイムだった。

F1アゼルバイジャンGPスプリント レースペース推移

 今回のスプリントは、1周目に角田裕毅(アルファタウリ)がクラッシュしたことにより、セーフティカーが出動した。そのため、実質レースが始まったのは5周目からだと言っていい。そう考えるとルクレールのミディアムタイヤは、10周ももたなかったということになる。

 上位勢では、メルセデスのルイス・ハミルトンにもデグラデーションの傾向が見られるが、ルクレールと比較すればそれほど大きくない。またアストンマーチンのフェルナンド・アロンソとランス・ストロールは、ほぼデグラデーションの傾向を見せなかった。

 それを考えればルクレールは、レッドブルに太刀打ちできないのはもちろん、アストンマーチンやメルセデスに決勝レースで逆転を許してしまう可能性があるのではないかと思われる。

 ルクレールはスプリントの後、「タイヤが弱点なのは分かっていた」「レッドブルの方が速いのを確認できた」と言っていたが、それだけでは済まないかもしれない。

 なお、ソフトタイヤは決勝レースではどう考えても使えそうもない。スプリントでは複数台がソフトタイヤを履いたが、その筆頭であったノリスは、僅か3〜4周走っただけでペースがガクリと下落。たまらずピットに入った。アルピーヌのエステバン・オコンがソフトタイヤを履いた時も、同じようなペースの傾向になっていた。

 これを考えると、決勝でのソフトタイヤの出番はありそうもない……。

 ここから導き出すと、決勝の戦略はミディアム-ハード-ハードと繋ぐ2ストップ作戦が主流となりそうだ。ただ、ほとんどデグラデーションの傾向を見せなかったレッドブルやアストンマーチンは、1ストップでレースを走り切る形になるかもしれない。