F1は2026年のレギュレーション変更において、ホイールリムサイズの小型化はマシンの重量削減を目指す取り組みの一環として検討が進められていたが、これが却下されたようだ。

 FIAは、F1マシンの重量が増加の一途をたどっていることを懸念し、新レギュレーションではより小型で軽いマシンの実現を目指している。ホイールとタイヤのサイズ変更はそのための手段のひとつであり、現行の18インチから16インチにホイールリムのサイズを変更することが検討されていた。

 しかしF1にタイヤを供給するピレリはこれに反対。新しいサイズにするにはタイヤの生産工程を大きく変更する必要があり、2025年にミュールカーを使ったテストプログラムを開始するまでにタイヤの製造が間に合わないと考えている。

 こうした現実的な理由の他にも、ピレリが反対している理由がある。F1は2022年に13インチから18インチにホイールリムサイズを変更したが、これは自動車業界全体のトレンドを反映したものであり、ここに来てのサイズ縮小はスポーツのイメージと技術移転の両面で逆行するものだと考えられているのだ

 2026年に導入される新レギュレーションについて、先日の技術諮問委員会でチームとFIAによって話し合いが行なわれた。その結果は公式には発表されていないものの、ホイールリムは18インチのまま、タイヤサイズと形状を若干変更することで合意されたようだ。

 ピレリのF1責任者であるマリオ・イゾラは、motorsport.comに次のように語っている。

「我々はサイズの最終決定に近づいている」

「もちろん、ホイールをデザインする際にはブレーキ、サスペンション、タイヤなど、すべてのパッケージを考慮しなければならない」

「新しいマシンは異なるモノなので、変更する必要がある。いずれにせよ、より小さなタイヤを設計しなければならない」

「16インチと18インチの間で議論されている。我々の希望は18インチのままだ。その正当な理由があると私は信じている。タイヤが小さくなっても、リム(のサイズ)は同じだ」

「我々が議論しているのは、タイヤの直径を小さくしてロープロファイルにし、幅もわずかに狭くすることだ」

 イゾラは、16インチ化したとしてもあまり効果はないと考えている。

「重量という要素はある。それにはパッケージ全体が影響する。16インチと18インチ、ナロー18インチの差は大きくない」

「重量の要素はあるがそれだけではない。パフォーマンスの要素もあるんだ。もし16インチのタイヤを履いたとしたら、明らかにオーバーヒートのリスクは高くなる。直径が小さいということは、熱の分散の仕方が違うということなんだ」

「ドライバーの期待に応えるタイヤを設計するためには、様々な要素が必要なのだ。性能面では、18インチの方が16インチよりも優れている」