【TPC秋山響の海外競馬解析】年明けデビューの馬がダートの3歳王者の座に就いた。

 6日に米国ケンタッキー州のチャーチルダウンズ競馬場で行われたGⅠケンタッキーダービー(ダ10ハロン)はJ・カステリャーノ騎手を背に後方でレースを進め、3コーナー過ぎから上がっていったメイジ(牡=G・デルガド厩舎)が、粘るトゥーフィルズに1馬身差をつけて優勝。栄冠を手にした。

 GⅠ・BCジュヴェナイルを制したグッドマジックの産駒で、伯父に芝9ハロンの米GⅠターフクラシックSの勝ち馬フィネガンズウェイクを持つメイジは、今年1月28日のデビュー戦(ダ7ハロン)を逃げ切り勝ち。その後は3月のGⅡファウンテンオブユースSが先行して4着、4月のGⅠフロリダダービーは後方からまくる競馬で2着だったが、大一番で見事な末脚を披露。1882年のアポロ、2018年のジャスティファイに続いて史上3頭目となる年明けデビュー馬が優勝を果たした。

 素晴らしい走りをみせた勝ち馬の未来は明るそうだが、レースを終えて頭によぎったのは、レース当日にケンタッキー州競馬委員会の獣医師によるチェックを受けて出走取り消し(右前肢の挫石)を余儀なくされた昨年の米最優秀2歳牡馬フォルテの今後。

 フォルテは、今年に入ってファウンテンオブユースSとフロリダダービーで2度続けてメイジを負かして優勝。ここも1番人気に推されていただけに、その走りをここで見てみたかったという思いは残る。

 なお、フォルテは8日になってケンタッキー州競馬委員会から少なくとも14日間は出走が認められない獣医師リストに載ることが発表され、20日のGⅠプリークネスS参戦も不可能となってしまった。一日でも早い復帰、そして一戦ごとにパフォーマンスを上げ、伸び盛りという印象があるメイジとの3度目の激突を心待ちにしたい。

ケンタッキーダービーを制したメイジ(緑帽子)=ロイター

著者:東スポ競馬編集部