メイケイエールは有終の美を飾れるか
メイケイエールは有終の美を飾れるか

高松宮記念2024

[GⅠ高松宮記念=2024年3月24日(日曜)中京競馬場、芝1200メートル]

 重賞6勝をマークしたメイケイエール(牝6・武英)がGⅠ高松宮記念で引退レースを迎える。白毛一族から生まれた鹿毛馬で、デビューからGⅢ2つを含む3連勝でクラシックの主役に躍り出ると、3歳時は桜花賞で敗れたのちに短距離路線へ。GⅠでは海外遠征を含む10戦を走るも、タイトル奪取とはいかず。陣営はこのラストチャンスをものにせんと、渾身の仕上げで臨むという。

【トレセン発秘話】その真面目過ぎる気性や勝ちっぷりの鮮やかさなど個性的なキャラクターで、多くのファンに愛されてきたメイケイエールが、今週末の高松宮記念でいよいよラストランを迎える。

 苦楽を共にしてきた武英調教師は「もう馬房に戻ってこないと思うと寂しくなりますね」としみじみ話す一方で、悲願のGⅠ制覇に向けてこう力を込める。

「これまでは次もあることを考えて、どうしても攻めきれないところがありました。でも、今回はそれを考える必要がないですからね。最後の最後まで攻めの姿勢を貫いていきたいと思います」

 武英厩舎の調教パターンといえば1週前までにしっかり馬を仕上げて、当週はソフトに。これまでのメイケイエールも同様の調整過程を基本にしてきたが、今回は最終追いでも坂路4ハロン53・1―12・9秒といつも以上に負荷を掛けてきた。調教の強度を上げればテンションが上がりやすくなるリスクもあるが、今の同馬ならその点も心配無用。「大人になったぶん、テンションも変わらず、穏やかに過ごせています。一度使ってトモの張りも良化。いいころの感じが出てきました」と指揮官は納得の仕上げをアピールする。

 最後に最高の結末を――。その思いは主戦の池添もまったく同じ。

「重賞を取れるだけでもすごいけれど、この馬に求めるものはGⅠタイトル。人気のある馬で(当日に)引退式もありますし、まずは無事にという気持ちですが、ここで結果を出せれば言うことがないですね」

 そのVシナリオを遂行するうえで陣営が口を揃えてポイントに挙げるのがゲート。

「出遅れるとどうしてもリズムが悪くなるんです。前に馬がいると前走のように最初からケンカする形になってしまうので。理想はシルクロードSやセントウルS。普通に出て、前に馬がいなければ(流れに)乗って行きながら抑えられるので馬の負担も軽くなる」(池添)

 課題克服へ中間は鞍上を乗せてゲート練習を行っており、当日はパシファイアーを着けて臨む予定となっている。有終の美へ、打てる手はすべて打ってきた。あとは五分にスタートを決めて、流れに乗れれば…。ファンの声援を追い風に、希代の快速娘メイケイエールが最高の輝きを見せてくれるに違いない。

著者:西谷 哲生